正確な英語の発音習得の必要性
[如何なる外国語も学習は全て耳から]
外国語の学習は全て 「音に対して音で反応する」 ことを絶対条件としていなければなりません。
「音に対して音で反応する」とはどういうことでしょうか。外国語の音が飛んで来たときに、その音を「意味」そのものに直結させます。「意味そのもの」に結び付けるとは、日本語の意味に結びつける(即ち訳す)ことではありません。例えば、高等学校を卒業した人であれば、英語の「he」という音を聴いたとき、一々それを日本語の「彼」に結び付けなければ理解できないという人は殆どいないはずです。英語の「he」をそのまま意味に結び付けて、直接理解してしまいます。
さて、そのようにして掴んだ音(意味)に対して、反射的に英語の音による反応(それを実際の音声として口から発するかどうかは別として)が出てくるようにトレーニングしなければならないのです。「音に対して音で反応する」ことができるようにならない限りは、外国語を使いこなすことは不可能です。
これを実現するためには入門段階の会話から高度で複雑な文章に至るまで、全て耳から音で入れる必要があります。何年も掛けて、全てを音から入れるのです。そうすれば、映画の台詞も難解な文章も全てが音として頭の中に湧き出てくるようになります。そうなれば、英語を話すときも、緻密な文章を書くときも、直接英語で感じ、考え、表現することができ、そのプロセスの中に日本語が介在することはなくなるのです。
頭の中に沸いて出てくるその音は、基本的には自分が持っている「英語の音」であって、CDやDVDの中の発音や、現地で生活しているときに聞こえてくる現地の人の発音や、テレビドラマの発音ではありません。5年やっても10年やっても、5年住んでも10年住んでも、皆さんの発音はネイティブのそれには似ても似つかない、皆さんが今持っている「英語の音」から殆ど何の変化もしません。
そうしたら、その間に習得したたくさんの単語や表現が全て、日本人独特の、極端に訛った発音で頭に定着し、極端に訛った発音のまま頭の中に沸いて出てくるのです。これは考えるだに恐ろしいことであり、人生の壮大な浪費です。
1日でも、1時間でも、1分でも早く完璧な発音を身に付かなければなりません。遅れれば遅れるほど、その1日が、その1時間が、その1分が無駄になってゆくのです。
英語に関しては、優秀な教材が多数市販されていますし、辞書の類も大変充実しており、更に、日本語に訳すと一つの単語になってしまうが、英語ではそれが複数の単語に分かれていて、使い分けが存在しているというケースは不可避的に存在していますが、それら複数の単語の相違点、使い分けなどに関する書物もたくさん出版されています。
それらのものを完全に頭に入れてしまえば、英語は極めてハイレベルに到達することができます。この点は、一にかかって学習者の努力に在るのであり、英会話教室に通ったからといって何ら解決するものではありませんから、従って通う必要は微塵もありません(どのような教材を使用するかという選択は大変重要ですが)。
しかし、発音だけは、教材を購入したからといって解決する問題ではありません。アメリカに留学したからといって、アメリカに住んでいるからといって、解決する問題ではありません。何故でしょうか。
[発音は何故独学できないのか]
「デンさんの広東語相談室」にも述べられていることですが、日本人にとっては日本語は本能であり、日本人の脳は、言語に関してはこの日本語という本能に支配されています。
それが日本語であろうとなかろうと、全て日本語の音に引き寄せて聞いているのです。何回聞いても、同じように日本語の音として受け取りますから。外国語の発音そのものは日本人の脳には達していないのです。
この状態でモデル発音を何回聞いても、アメリカに何年住んでいても、外国語の発音そのものが脳に達していないのですから、正しい発音が習得できるはずがないのです。当然のことながら、美しい発音のCDを何回聞いても、全く意味がないことになります。
[市販の発音教材を使用しても意味がない]
では、市販の発音教材を使用するのは効果がないのでしょうか。結論から言えば、ほぼ何の効果もありません。勿論「子音の後ろに、もともと存在しない母音をつけて発音してはならない」とか「LとRを区別して発音しなければならない」とかのあまりにも基本的なことすら知らないという人には一定の効果があると思いますが、それはネイティブ並みの発音とか、外国人だということが絶対ばれない発音とかとは全く別次元の問題です。
発音教材を使用しても効果がないのには幾つもの理由があります。
1、日本人が日本語を話すのであれば誰でも同じ発音をしているかといえば、決してそんなことはありません。皆さんが想像もつかないほど、人によって発音は異なっています。ですから、英語の或る発音を説明するのに、Aさんには「黒なんですよ」と説明し、Bさんには「白なんですよ」と真逆の説明をしなければならないことなど日常茶飯事なのですが、出版物ではこれが全く不可能です。一般論を述べる以外の方法がありません。
2、 市販の発音教材とは比較にならないほど詳しく、その学習者の性格や日本語の発音の傾向を考慮した説明をした後でも、学習者がその説明に基づいて出した発音に問題がなく、そのまま次に進むことができるなどということは絶対にありません。学習者の発音を聞いて、その中から次なる問題点を発見し、それを指摘し、解決方法を示し、何回も練習させる必要があります。そうすると、その中から更に問題点が出てくるのです。
市販の発音教材ではこのような問題点に対応する方法は一切ありません。
3、発音上の問題を解決する方法は何通りもあり、そのどれで解決されるかは実際にやってみなければわかりませんが、市販の発音教材には勿論複数の解決方法は記されていませんし、記されている方法は使えないものが大部分です。
4、 聞かせるモデル発音自体も、学習者一人一人に合わせて変えなければならない場合が少なくありません。「そんな馬鹿な!正しい発音は只一つで、相手によって変えるなんて、そんないい加減な教え方じゃ駄目に決まっている」って思う人が多いでしょうね。簡単な例え話をしましょう。右のほうに曲がった癖の付いた竹の棒を真直ぐにしようとしたら、曲がったものを只真直ぐに伸ばしただけでは、また右に曲がってしまいますから、左に曲げてやる必要があります。しかし、左に曲がった癖の付いた竹棒を真直ぐにしようとすれば、逆に右に曲げてやる必要があります。学習者に聞かせるモデル発音も同じことなのです。これも市販の発音教材にはやりようのないことです。
5、 ネイティブだと思われるレベルにするには、上記1、2、3、4、を総動員して極めて微細な調整まで実現する必要があります。そのためには講師自身が極めて優れた耳と、問題点の根本的原因を探り出す洞察力と、あらゆる異なる傾向の人の、あらゆる異なる問題を解決してきた豊富な経験と、言語についての広大なバックグラウンドと、理想的な発音と上記4、に記したようなことを実現するための故意に変形した発音とを自由に使い分けることができなければなりませんが、勿論、市販の発音教材にはこれらは微塵も期待することができません。
ウイズダム英語学院が、複数の講師を雇ってたくさんの学習者に対応するという方法をとらず、基本的に全ての授業を田が担当している(従って、同じ時間帯に複数の授業は行えない)のも、上記のようなことが実現できる人間が田以外にいないからに他なりません。
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